いのちの食べかた

「よりみちパンセ」という名前の叢書(シリーズ)がある。
中学生でも理解できるように、わかりやすい内容で、生きていくためのリアルな知恵が、各ジャンルの第一人者によってコンパクトに書き下ろされている。
その第3作、森達也さんの「いのちの食べかた」がすばらしい。2004年に書かれたものである。

Inochi.jpg

魚は、テレビでもマグロの解体などが紹介されていて、どのように解体されて食卓に上ってくるかが理解できる。
では、肉はどうか?確かに、これはわからないことが多い。
これを紹介したのがこの本だ。
でも、それだけでは終わらないのがすばらしいと思った。
肉を解体するところで働く人から、差別の問題まで取り上げていた。

とても良い本である。

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狼の群れと暮らした男

久しぶりに面白い本を読んだ。

A man among wolves

図書館のシールが邪魔しているけど、「狼の群れと暮らした男」(原題:The Man Who Lives with Wolves)。
個人的に狼が好きなのである。なんか神聖なものを感じる。「大神」が語源という話もあったりして。

イギリスの人が、実際に狼の群れの中に入り、群れの一員として認められ、2年間を共に生活したという話。
生態を研究している学者ではない。実体験から狼の生態を知るというすごい研究だ。
正確な生態を知ることで、人間も狼も危険な関係になることなく生きていけると。

アメリカのイエローストン国立公園では、すでに絶滅していた狼を、1995年にカナダから連れてきて野に放した。
今では頭数も増えていて、自然の生態系が復活しているとのこと

日本でも鹿による森林の被害が進んでいる。捕食者がいないのだから当然といえば当然だと思う。
狼が入ることで鹿が減り、森が復活し、山崩れが減れば、山が復活するのではないか。そうなるといい。

おもしろいのは、狼と犬のDNAは0.2%しか違っていないとのこと。
だから、狼の行動が理解できると犬の行動も理解できるんだと。
人懐こい犬が必ずしも飼いやすいとは言えないんだって。
本来は群れで生活する生き物だから、それぞれに役割があって、それを知らないと正しく育てられないことがあると。

日本でも狼を復活させようとしている団体がある。
日本オオカミ協会
基本的に狼は人間を恐れているから近づいてこないという。
正しく理解できれば共生は可能じゃないかと思うのだが。
熊はいるのに狼がいない方が不自然だと思うのだが。

狼、興味は尽きない。。。


子どもにつたえる日本国憲法

最近読んでとても印象に残った2冊。

「こどもにつたえる日本国憲法」
井上ひさしさんによる、子供向けの憲法前文と第九条である。

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まずは、ちゃんと読んだことのなかった前文そのまま。

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日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基づくものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

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これが井上流のわかりやすい日本語版では次のようになる

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国民がみな ひとつところに集まって
話し合うことはできないし
たとえできたにしても
やかましくてなにがなんだかわからなくなるだろう

そこで私たち国民は
決められたやり方で「代わりの人」を選び
その人たちを国会に送って
どうすれば私たちの未来が
よりよいものになるか
それをよく話し合ってもらうことにした

私たちが 同じ願いをもつ
世界のほかの国国の人たちと
心をつくして話し合い
そして力を合わせるなら
かならず戦はいらなくなる

私たちはそのようにかたく
覚悟を決めたのだ

今度の戦で
つらく悲しくみじめな目にあった私たちは
子どもや孫たちと
のびのびとおだやかに生きることが
ほかのなによりも
大切であると信じるようになった

そこで私たちは
代わりに国会へ送った人たちに
二度と戦をしないようにと
しっかりとことづけることにした

この国の生き方を決める力は
私たち国民だけにある

そのことをいま
世界に向けてはっきりと言い
その国の大切なかたちを
憲法にまとめることにする

私たちは代わりの人たちに
国を治めさせることにした

その人たちに力があるのは
私たちが任せたからであり
その人たちがつくりだした値打ちは
私たちのものである

これは世界のどこもそうであって
この憲法もその考えをもとにしている
私たちは、この原則に合わないものは
なんであれ、はねのけることに決めた

私たちは、世界の人たちがみな
こわがったり飢えたりせずに
ただおだやかな生き方をしたいと願うのは
当たり前だということを

いま一度
自分に言い聞かせ
どんなことがあっても
そのじゃまをしてはならないと
たしかに決めた

自分たちのためになることばかり言い立てて
ほかの国をないがしろにしてはならない

これはいつどんなときでも
守らなければならない決まりごとである

この決まりごとを私たちもきびしく守って
日本国のことは、国民である私たちが決め
ほかの国国の主人になろうとしたり
家来になろうとしたりせずに
どこの人たちとも同じ態度でつきあうことを誓う

どんな国でもそうしなければならないと
信じるからだ

日本国民は
これから築きあげようとする
私たちの国のほまれのために
ありたけの力を振りしぼって
これまでに書いたことを
やりとげる決心である

-----

大人が読んでも感動するじゃないか。
こんな崇高で毅然としたことが書かれていたのか。
これはなんとしても守り抜きたいと思う。

この本には、いわさきちひろさんのイラストが添えられていて、まるで絵本の詩集のようだ。

これは買って手元に置いておこうと思う。


「弓と禅」につていは、次の機会に。。。





動物農場 おとぎばなし

憲法を改正しようとせずに、解釈を変えるだけで憲法に反するようなことを押し通そうとする今の政権。

AnimalFarm.jpg

こんなやり方を考えた役人は、きっとこの物語を読んだに違いない。
1948年に書かれたものだけど、実に今の政権の手口がわかる。

人間に管理されていた農場を、ブタなどの知恵者の主導で人間を追い出し、動物だけの平等な自主管理農場を実現する。
<動物主義>の原理を七つにまとめた「七戒」も定めた。

1.2本足で歩くものはすべて敵である。
2.4本足で歩くもの、あるいは羽根があるものはすべて友だちである。
3.動物は服を着るべからず。
4.動物はベッドで寝るべからず。
5.動物は酒を飲むべからず。
6.動物は他の動物を殺すべからず。
7.すべての動物は平等である。

最初はうまくいくのだが、知らず知らずのうちに再び管理された農場になってゆくというストーリー。
七戒も、気づかないうちに書き加えられている。

4.動物はベッドで寝るべからず。シーツを用いては
となっていて、指導者であるブタはベッドで寝ることになったり、
5.動物は酒を飲むべからず。過度には
となっていて、指導者のブタは公然と酒を飲んだり、
6.動物は他の動物を殺すべからず。理由なしに
となっていて、指導者に反対するものを殺したり、

そうならないためには、すべての動物が勉強して何が起きているのかを正しく理解しなければならないんだなと思う。
そのまんま、人間にあてはまる話じゃないか。

無関心でいること、任せきりにすることは、再びの道を歩むことになるよなぁ。

絵本2冊

年末、図書館で絵本を借りていた。お正月にじっくり楽しませていただきました。

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これは、あまりにも有名な絵本で、鉛筆画だけで文章がない。
それだけで、痛いほど犬の気持ちが伝わってくる。やっぱり買おうかな。。。

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これは、絵と文章がいっぱいの話で、実話ですね。
あの、進化論のダーウィンさんが、30歳近くになってから30年かけて地道に研究した内容である。
実験から、みみずは1年間に6mmの厚さの土を作るということを実証した、という話。
いやぁ、面白い。もう「バカ」がつく位にまじめである。これぞ研究者というかんじ。
年末年始に、こんな本を読んで過ごすのもいいものであるなぁ。


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